マットコート紙とは?厚みによる用途の違いやほかの用紙との使い分けを紹介
マットコート紙は、表面のつやを抑えた用紙です。マット紙や半光沢紙とも呼ばれます。マットコート紙は用紙表面をコーティング加工されているため、上質紙よりも発色がよいです。またコート紙よりも用紙表面の光の反射がおさえられ、内容が読みやすいため、雑誌の写真入りページなどによく使われます。
パンフレットやチラシなどにどの用紙を使うべきか迷う場合は、求める発色や視認性、筆記性などを基準に用紙を選択しましょう。
マットコート紙とは
マットコート紙は、用紙表面のつやを抑えられる用紙です。原紙である中質紙や上質紙の表面に、マット系の塗料が塗布されています。
マットコート紙の表面はしっとりしており、塗料に粒子が入っているためすべすべとした肌触りです。同じ塗工紙であるコート紙とくらべ筆記性も高く、鉛筆やボールペンでの書き込みが可能です。またコーティング加工をしていない上質紙などの用紙と比較すると、発色がきれいに出ます。用紙の表面がマット系の塗料によりコーティングされ、平滑になっており、インクが紙の繊維の間に入りにじむのを防いでいるためです。
マットコートはどのような加工?
マットコートは、物体の表面のつやを消す加工です。紙のほかにも、車の塗装やネイルの表面加工、アクセサリーのデザインなどでもマットコートが使われます。
マットコート加工を施すと、インクの光沢がおさえられます。塗料に入った小さな粒子が物にあたる光を散乱させ、目に入る光の量をへらすためです。粒子が光を散乱させることで、反射する光の量を減らし、つやをおさえます。マットコート加工されると、上品で落ち着いた印象の見た目になります。
マットコート紙の用途例
マットコート紙は雑誌のカラーページなど文字の入った紙面に使われることが多いです。紙表面からの光の反射が少なく、明るい場所でも読みやすいためです。写真などの発色と文字の見やすさの両方を重視したいカタログ、ファッション雑誌、商品パンフレットのような用途の用紙として選ばれています。
マットコート紙の厚さと用途
マットコート紙は、さまざまな厚みがあります。用紙の厚さによってページのめくりやすさなどが異なるため、用途にあわせて使い分けるとよいでしょう。
マットコート紙の厚さとよく使われる用途
マットコート紙の厚み※1 | 厚みの目安 | 用途 |
73kg(約0.08mm) | ノート、コピー用紙 | 本や雑誌の本文用紙 |
90kg(約0.11mm) | 1万円札 | チラシ・フライヤー、 カタログの本文用紙 |
110kg(約0.14mm) | ファッション誌の表紙 | パンフレット、 会社案内ポスター |
135kg(約0.18mm) | 切符やハガキ | 本や雑誌の表紙、ポスター、 CDジャケット |
※1 使われる紙の厚みをあらわす単位に連量を使います。一定の寸法の紙を1,000枚重ね合わせた時の重さのことで、紙の厚みが厚くなるほど連量は重くなります。
マットコート紙とほかの用紙の違いと使い分けのヒント
本や雑誌などに使われことが多い用紙に、上質紙やコート紙があります。筆記性を重視したいなら上質紙、発色や光沢を重視したい場合はコート紙が利用されています。筆記性と発色・光沢をバランスよく出したい方はマットコート紙を選ぶといいでしょう。
マットコート紙と上質紙・コート紙との違い
マットコート紙 | コート紙 | 上質紙 | |
価格(1枚あたり)※2 | 4円〜6円 | 4円〜6円 | 2円〜7円 |
発色・光沢 | ○ | ◎ | △ |
文字の視認性 | ○ | △ | ○ |
筆記性 | ○ | △ | ◎ |
質感・平滑さ | ○ | ◎(つるつる) | △(ざらざら) |
※2 A4 B5サイズ
上質紙とマットコート紙との違い
上質紙は、表面にコーティング加工をしない用紙です。マットコート紙と比較すると、表面の凹凸が大きいです。発色はおさえめで、光沢は出にくいです。
上質紙はマットコート紙よりもサラサラとした手触りで、筆記性に優れるため、ノートやメモ帳、書籍などに使われます。
コート紙とマットコート紙との違い
コート紙は、マットコート紙と同様に上質紙などの原紙にコート剤を塗布した用紙です。マットコート紙のコート剤と違い粒子が入っていないため、光が散乱しません。用紙の表面に光沢があり、ツルツルとした触り心地です。ただし、表面が平滑になっているため、鉛筆などが滑りにくく筆記性は少し悪いです。
写真や色の再現性に優れているため、フルカラーのチラシや雑誌の表紙、アルバムなどの用途に使われます。
マットコート紙に表面加工をするときの注意点
表面加工として指紋や傷を目立ちにくくし、インク剥がれを防ぐ目的で用紙表面にPPフィルムを圧着させるPP加工などを施せます。PP加工には、表面にツヤを与えるグロスPP加工と、ツヤを消してマットな質感を与えるマットPP加工の2つが一般的に利用できます。
マットコート紙にはグロスPP加工を付けないようにしましょう。用紙の最表面の層に、マットコート加工が施された層がないと、つや消し効果が出ないためです。マットコート紙やコート紙に、質感が反対になるPP加工した場合、用紙の見え方はPP加工の特性が出てしまいます。PP加工の選択時は、用紙の機能と逆にならないようにしましょう。