オンデマンド印刷とは?

オンデマンド印刷は小ロットや種類の多い印刷に適しています。オンデマンド印刷は印刷の型となる「版」を製版する工程がなく、デジタルデータを直接用紙に印刷する印刷方式です。工程が少ない分スピーディかつ価格を抑えた印刷が可能になります。
冊子製本キングはオンデマンド印刷に対応しております。
オンデマンド印刷で使われる印刷方式
オンデマンド印刷に使われる印刷方式は、トナー方式とインクジェット方式です。
トナー方式はレーザー方式ともよばれます。レーザーでインクがのる部分を指定し、粉末インクをのせ、紙に転写した後、熱をかけることでインクを定着させます。インクジェット方式は、液体のインクを吹きかけることで印刷する方法です。
現在のオンデマンド印刷の主流は、長期的な印刷コストを安くできるトナー方式です。インクジェット方式は1200dpiという高い解像度を出せる機種もあるため、写真など鮮明な印刷が必要な場合に使われます。業者によって導入している印刷機が違うため、解像度にこだわりたい場合は事前に問い合わせるとよいでしょう。
冊子製本キングのオンデマンド印刷は、長期的な印刷コストを安くできるトナー方式です。
トナー方式 | インクジェット方式 | |
インク | 粉末 | 液体 |
仕上がり | △ | 〇 |
印刷スピード | 〇 | △ |
インクの種類 | 〇(金・銀などあり) | △ |
用紙の制限 | 熱に弱いもの不可 | なし |
コスト | 〇 | △ |
オンデマンド印刷の特徴
少部数の印刷コストが安い
オンデマンド印刷の特徴は、版を使わないため少部数の印刷単価が安いことです。オフセット印刷など、印刷部数に関係なく絵柄の元となる版を作る印刷方法では固定費がかかるため、少部数の印刷だと費用が割高になります。一方オンデマンド印刷は、オフィスで使われるコピー機やプリンターのようにデータを印刷機に送り、そのまま印刷できます。製版のための時間や費用などの固定費がかからないため、少部数の場合低コストでの印刷が可能です。
印刷数が増えても安くなりにくい
オンデマンド印刷は、同じデザインで印刷部数が増えても1冊あたりの料金はオフセット印刷よりも下がりにくいです。印刷物を1部出力するあたりのスピードがオフセット印刷に比べ遅いことなどが理由として挙げられます。
1枚ずつデザインを変えて印刷できる
版を使わずに印刷できるオンデマンド印刷は、印刷するデザインを柔軟に変更できます。そのため、デザインの一部だけ変えて複数印刷したいチラシや宛名が1枚ずつかわる挨拶状などの印刷に向いています。
フルカラー印刷に対応
オンデマンド印刷機では、プロセスカラーといわれるCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の色を使って印刷します。4色を掛け合わせ、色を表現することをフルカラー印刷と呼び、写真やイラストの色をきれいに再現できます。
金色や銀色は原則として使用できない
プロセスカラーの4色の組み合わせでは、「特色」などの色はうまく表現できないため注意が必要です。オンデマンド印刷では金・銀・蛍光色・メタリックカラー・パステルカラーなどの色は、一部機種を除き表現できません。これらの色は、DIC、PANTONEという仕様で指定され、CMYKの4色では再現できないためです。
オンデマンド印刷は色味の再現がしにくい
オンデマンド印刷で主流のトナー方式では、用紙に熱をかけインクを定着させるため、同じ色味を出すのが他の印刷方法より難しく、デザインによっては意図しない仕上がりになることがあります。
色の不備の中で、用紙選択や印刷デザインの工夫で対策しやすいのは、色ムラ、中抜け、割れ目、モアレです。テカリについては、オンデマンド印刷に使用するインクに含まれるワックスが原因になるため対策が難しいです。気になる方はオフセット印刷を使うとよいでしょう。
不備 | 状態 |
テカリ | 黒インクの印刷などで、光の反射が強く出る |
色ムラ | 色の濃淡が異なり均一でなくなる |
中抜け | 凹凸のある用紙の凹部分にインクが乗らない 薄い色の部分が印刷すると出てこない |
割れ目 | 濃い色の印刷をして折ることで、折り目部分がひび割れる |
モアレ | 印刷時に意図していない柄が印刷物に現れる |
色ムラ・中抜け対策
広い面積を黒で塗りつぶすベタなどを印刷すると色ムラが出ることがあります。色ムラは、温度・湿度の影響などでインクが均一にのらない時に起こります。特に薄い色を使ったベタや凹凸のある用紙への印刷で起きやすいです。また、インクがデザイン通りにのらない中抜けも色ムラと同じ原因で起こります。
色ムラ・中抜けの対策としては、マット紙やコート紙など表面加工がされた用紙の使用や、ベタ塗りよりもテクスチャ柄などを使うとよいでしょう。
割れ目対策
オンデマンド印刷では熱処理によりインクを定着させるため、摩擦や用紙の折りに対して剥離や割れが出ることがあります。表紙にPP加工を施すと印刷面の保護になるため、割れを予防できます。特に濃い色を使用した場合や用紙に厚みがある場合は、折れ目部分の剥がれなどが出やすいため、対策を検討するとよいでしょう。
モアレ対策
モアレは印刷後に発生する意図しない模様のことで、アミ点※1が不揃いとなって位置がずれたり、形状が変形していたり、間隔や並びが不規則であると起こります。
モアレの発生を防ぐには、トーンの重ねすぎや画像の拡大縮小処理を避けましょう。トーンの重ねすぎはアミ点の不揃い、拡大縮小処理は比率変更により変形が発生しやすく、モアレが出やすいです。 ※1:印刷物の濃淡を表現するための小さな点のこと
オンデマンド印刷の入稿データ作成時に気をつけること
入稿時のカラー形式
オンデマンド印刷の原稿を入稿するときは、RGB形式ではなくCMYK形式での入稿を推奨されていることが多いです。RGBなど別の形式で作成したデータを使う場合はCMYKに変換して色味をチェックすることが必要です。
ただし、最近ではRGB形式のデータをそのまま入稿できる印刷会社もあるため、入稿前にカラー形式の確認をしましょう。
解像度を整える
オンデマンド印刷で一般的に推奨されている解像度は、フルカラーは350dpi、白黒や2色刷りは600~1200dpiが目安です。解像度を下げると印刷時にぼやけてしまうことがあるため、推奨される解像度よりも下げないようにしましょう。