冊子を手作りしてみよう!製本のやり方を詳しく解説

更新:2023年8月8日

コラム_冊子手作り

自宅やコンビニで冊子を簡単に作れることを知っていますか?
最近では「ZINE(ジン)」といって、個人が自分の文章や写真をコピー機やプリンターで少数刷って発行する出版物の人気が高まっています。
自分で作りたいという人が増えた背景には、性能の良いプリンターが家庭に普及してきたこと、アプリやフリーソフトで写真や文章編集が簡単にできるようになったことがあげられます。
冊子となると、データ作成に加え「製本」という作業が必要になります。
製本にはいくつか種類があるのですが、作り方のちょっとしたルールを覚えれば誰でも作れるようになります。

製本には様々なやり方があります。その中でも最も低コストで簡単に製本ができる並製本と呼ばれる製本方法は、無線綴じ・平綴じ・中綴じ・あじろ綴じなど種類があります。今回は、その中でも特によく使われている無線綴じ、中綴じ製本のやり方をご紹介します!

無線綴じ
無線綴じ_製本例 無線綴じ_綴じ方

無線綴じとは、本の背を糊(接着剤)で固めて綴じる製本のことを指します。糸や針金を使わないので、「無線綴じ」と言われています。用紙を一枚ずつページ順に並べ、本の背に糊をつけ綴じます。

特徴
  • 多ページ向け(24ページ以上)
  • 作品集、アルバムのような冊子に向いている
  • 背表紙があるので整理しやすい
  • 丈夫で長期保存に向いている
  • 1枚ずつ綴じるのでページ構成が楽
中綴じ
中綴じ_製本例 中綴じ_綴じ方

中綴じは、印刷した用紙を重ねて中央から二つ折りにし、折り目部分に針金や糸を通して固定する製本方法です。

特徴
  • ホチキスで留められる少ページ向け(8~52ページ程度)
  • パンフレット、セミナー資料のような冊子に向いている
  • 本の根本まで開ける
  • 薄く軽量なため配布などに便利
  • ホッチキスで留めるだけなので簡単

手作りで仕上げる冊子のサイズを決めましょう。印刷用紙は、仕上がりサイズの2倍の大きさを使います。
A4サイズ(210×297mm)はレポート、セミナー資料、パンフレットに使われ、B5サイズ(182×257mm)は広報や同人誌に使われることが多いです。A5サイズは(148×210mm)ハンドブック、取扱説明書が多いですね。
サイズは自由ですが、A5サイズだと家庭のプリンターの印刷が対応している場合が多いため、A5サイズがおすすめです。

サイズ一覧

自分で製本する方法とサイズを決めたら、次にページ数がどれくらいになるか確認しましょう。全体のページ数は写真や文字の素材を集めて決めます。冊子製本キングでは中綴じの場合8~52ページ、無線綴じ冊子の場合は24~500ページとなっております。製本方法によってページ数に制約があるので、先に決めた製本方法とページ数にズレがないか確認する必要があります。また、ページ数は表紙・裏表紙を含んでいるため、ページ数の数え方には注意しましょう。大体の構成と完成イメージをここで決めておくといいでしょう。この段階では、レイアウトは大まかに決めておくだけでも大丈夫です。

面付け作業とは、製本したときに各ページが正し順番になるように用紙に印刷するページの配置を調整することです。製本や印刷依頼を業者にする際は依頼先で面付けを行ってくれることも多いですが、コピー機などを使い自作する場合は、ミスなく印刷するため面付け作業が必要になります。
はじめて面付けを行いページの順番がわかりにくい場合は実際に白紙を準備し、小さな冊子を作ってみることをおすすめします。ページの配置の確認作業なので、この時使う紙は実際の大きさでなくても大丈夫です。

無線綴じの場合

例えば、無線綴じは2つ折りにした用紙を重ねた紙を糊付けして綴じるため、無線綴じの面付けでは裏表の位置関係を間違えなければ問題なく印刷できます。また、面付けは印刷費を抑えるため製本したい冊子のサイズより大きい紙を使用して印刷し、断裁して製本する際にも使われます。よく行われるのがA3サイズの紙の表裏にA4サイズの原稿を4ページ分印刷するような2面付けと呼ばれる方法です。
2面付けは表紙の裏は1ページ目、1ページ目の隣は2ページ目と順番にページを配置していけば正しい順番で印刷できます。
面付けの順番がわかりにくい場合は、実際に冊子を作ってみると理解しやすいです。表紙・裏表紙も含めて全16ページの無線綴じの冊子を2面付けで作りたい場合の確認方法は次の通りです。
まず、A4のコピー用紙1枚を準備し8分割します。
切った紙を重ね合わせ、長辺のどちらかをテープで仮留めします。
冊子の1ページ目から最後のページまで順番にページ数を書き込んでいきます。
重ねた紙をバラし、記載した順番を参考に原稿を作っていきます。

無線綴じ面付け
中綴じの場合

例えば、中綴じは開いた状態の用紙を重ね中央をホッチキスで綴じるため、中綴じの面付けでは最初と最後のページを基準に配置すれば問題なく印刷できます。中綴じで2面付けする場合は、表紙と裏表紙を基準にページの順番を考えると考えやすいです。
まず、表紙の裏は1ページ目、裏表紙の裏は最終ページになります。これで印刷する1枚目は完成します。あとは、重ねる紙の4面を片側に区切ってページを割り当てていきます。表紙側はページ順に、裏表紙側はページの最後から降順に原稿を割り当てていきます。
面付けの順番がわかりにくい場合は、実際に冊子を作ってみると理解しやすいです。表紙・裏表紙も含めて全16ページの場合、A4のコピー用紙1枚を準備し8分割にします。切った紙を重ね合わせ、半分に折って冊子のようにします。
冊子の1ページ目から最後のページまで順番にページ数を書き込んでいきます。
重ねた紙をバラし、順番を参考に原稿を作っていきます。

中綴じ面付け

先ほどバラしたページを確認しながらそのページの順で原稿を作っていきます。
原稿は、ワード、エクセル、パワーポイントで作ることもできます。
最近では、インターネット上のアプリやテンプレートを使って冊子の原稿を作ることができ、仕上がった状態を確認しながら作れたり、ページの入れ替えも簡単にできたりと便利です。
作った原稿は、違うパソコンで開いた時にレイアウト崩れを起こす可能性を防ぐため、PDFに変換しておくと安心です。

無線綴じの場合

無線綴じは、背を糊付けするので、真ん中にできる綴じ部分「ノド」までしっかり開くことができません。綴じ部分に15mm~20mmほど余白を設けるようにしましょう。

無線綴じで表紙を作るときの注意点

重ねた本文の紙の厚みによって、表紙のサイズが変わります。本文と表紙の重なりによってできた紙の厚みの部分を背表紙とし、適切なサイズで表紙を作りましょう。

無線綴じのページ順
中綴じの場合

一枚の紙で4ページ分の内容が割り振られるため、製本時のページの並べ方に難しさを感じる人もいますが、面付け結果を確認しながら作っていけば大丈夫です。

中綴じで表紙を作るときの注意点

5mm以上内側に文字や画像を入れましょう。紙の厚み(枚数)によっては、小口部分に入っている情報が、仕上げのカットの際に切れてしまう可能性があります。

中綴じのページ順
無線綴じで表紙を作るときの注意点

重ねた本文の紙の厚みによって、表紙のサイズが変わります。本文と表紙の重なりによってできた紙の厚みの部分を背表紙とし、適切なサイズで表紙を作りましょう。

無線綴じのページ順
中綴じで表紙を作るときの注意点

5mm以上内側に文字や画像を入れましょう。紙の厚み(枚数)によっては、小口部分に入っている情報が、仕上げのカットの際に切れてしまう可能性があります。

中綴じのページ順

point1. 紙の特徴を押さえつつ印刷に適した用紙を選びましょう。

文字を印刷するのに適した上質紙は、自作の小説などを作成する場合に向いています。写真や画像がメインの場合は、艶のあるコート紙やマットコート紙がおすすめです。
コート紙とマットコート紙の違いは、艶や光の反射です。マットコート紙は光が反射しにくいため、写真と文字が入った本文の印刷用紙に向いています。コート紙は写真だけの表紙や本文を印刷する際に使用するとよいでしょう。

point2. ページ数によって厚さを変え、出来上がった時に読みやすいものにしましょう。

例えば、枚数が少ない冊子をコピー用紙で作ると薄っぺらい感じになってしまいます。逆に、枚数がたくさんあるものを厚めの紙で作ってしまうと、ぼってりと膨らんだ感じになってしまいます。無線綴じの場合は、枚数が多いものはめくりやすいようやや薄い紙を使う方が良いでしょう。表紙は本文で使った用紙より厚めのものを使うことで強度が出ます。

データが出来たら両面印刷をし、順番に並べておきます。

コンビニや自宅のコピー機などで印刷がすべて終わったら紙を重ねていき、仕上げの製本を行います。
今回は、本格的な道具を使わなくても、自宅にある道具でできる簡単な製本方法をご紹介します。

無線綴じの場合

準備するもの

  • クリップ(2個程度)
  • 糊(木工用ボンドやグルーガン等)
  • カッター
  • 定規
無線綴じの製本

無線綴じの場合は、印刷した紙を重ねクリップで固定し、背を糊付けして最後にクルッと糊付けした背の部分を表紙用紙で包むようにすると完成です。
背の部分にカッターなどで切り込みを入れると糊が定着しやすく頑丈に製本できます。

中綴じの場合

準備するもの

  • ステープラー(ホッチキス)
  • カッター
  • 定規
中綴じの製本

中綴じで手作りする場合は最後に真ん中を中綴じ用ステープラー(ホッチキス)で綴じたら完成です。サイズにもよりますが、基本的に2箇所留めておけば大丈夫です。中綴じの加工上、枚数が多いと折り畳んだ時に内側の紙が外にはみ出てしまうので、はみ出た部分をカッターでカットして端を揃えると綺麗な仕上がりになります。

冊子を手作りするにあたり、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット

●自由度が高い

冊子作成をデザインから印刷業者に依頼した場合、限られたデザインの中から選ぶケースがある一方、自分で作ると好きなデザインにすることができます。

●コストを抑えることができる

自宅で印刷する場合にかかる費用は主に紙代とインク代、印刷にかかる電気代なので、冊子を少数だけ作りたい場合は特に印刷会社に依頼するより安く済みます。

●作る過程を楽しめる

イメージを膨らませながらイチから作るのは手作り冊子の醍醐味といえるでしょう。

●その日に作ることができる

印刷会社に頼むと納品まで数日かかりますが、自宅で作るとプリンターとパソコンと紙があればその日の内に作ることも可能です。

デメリット

●製本時にズレが生じやすい

メリットでもあるのですが、手作業なので製本の際に機械で作るより若干のズレが生じてしまうことがあります。

●パソコンやプリンターがないと作りづらい

スマホでもできますが、データの編集作業はパソコンがあった方が便利ですし、確認をする場合もプリンターがあった方が作りやすいといえるでしょう。

●はじめは失敗をする可能性がある

製本のルールがあるので、慣れないうちはうまく作れない可能性もありますが、自分の手で作る冊子はできた時の感動と愛着もひとしおです。

冊子を製本する際の作り方をお伝えしてきました。冊子を手作りする際は、製本方法の種類やサイズなどを知った上で作成しましょう。

まず冊子を作る際に必要不可欠な用紙には様々な種類があります。上質紙はコピー用紙に近く文字を印刷する場合に適していますが、写真がメインの場合は艶感のあるコート紙を使用するなど、イメージするデザインに適した用紙を使うといいでしょう。
次に印刷をし、製本する工程に進みますが冊子の綴じ方によって注意点が異なります。例えば、無線綴じ冊子の場合は冊子の背を糊付けするため、用紙を一枚ずつページ順に並べて製本します。一方、中綴じは、印刷した用紙を重ねて中央から二つ折りにし、折り目部分に針金や糸を通して固定する製本方法です。
冊子を手作りする場合に知っておきたいポイントは、自由度高くコストを抑えれるというメリットがある一方、パソコンやプリンターがないと作りづらいなどのデメリットもあるということです。

最近では、自宅やコンビニでも冊子が簡単に作れる時代になってきました。
これから作る冊子はどの製本方法やサイズが合っているのか特徴をとらえた上で冊子を作るとよりいいものができるのではないでしょうか。
ぜひ手作り冊子にチャレンジしてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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