右綴じと左綴じについて

更新:2022年 10月 19日

右綴じと左綴じ

普段手にする小説や漫画、教科書などを開く際、「右綴じ」と「左綴じ」の違いを気にしたことはありますか?「縦書きは右綴じ、横書きは左綴じなのでは?」と漠然と思い浮かぶものの、その理由まで考えたことはないのではないでしょうか。
実は綴じ方の違いは、読み進める方向によって決まります。綴じ方向はその読みやすさを左右する大切な要素であり、本を作成する場合にも重要です。
そこで今回は、本の種類ごとの綴じ方向の違いと、迷いやすい綴じ方向の判断基準、実際に本のデータを作る際の注意点について紹介します。

右綴じ
左綴じ

一般的に本文が縦書きの場合は右綴じ、本文が横書きの場合は左綴じが採用されています。右綴じは、本の表紙を上にした際に、本のノド、つまり綴じている側が右側に来るものです。反対に、表紙を上にした際に本のノドが左側に来るものが左綴じです。また、右綴じは「右開き」、左綴じは「左開き」とも呼びます。

・本の種類ごとの右綴じと左綴じの使い分け

本の種類
右綴じ 漫画、小説、国語辞典、雑誌、国語の教科書、同人誌(漫画・小説)
左綴じ 写真集、パンフレット、参考書、図鑑、地図、英語や理科の教科書、楽譜、同人誌(フォトブック・イラスト集・横書きの小説やレポート)

販売されている書籍を例にすると、小説や漫画は右綴じ、英語の教科書や楽譜は左綴じが使われています。参考書などを読みながらノートをとるなどの作業をする可能性がある本では、利き手が右手の人が左手で本を開きやすいよう左綴じで綴じられているものも見られました。
また同人誌などまとめる内容が決まっていない自作の本では文字を読む方向により、右綴じと左綴じを使い分けます。

縦書き
横書き

たとえば、本文が縦書きの本においては、右綴じが一般的です。これは日本の縦書きの文章は右縦書きが慣習となっており、目線も同様に右から左へと移るためです。
もし、それらがページを右から左へめくる左綴じで作成されていると、目線を動かしづらく読みにくい本となってしまいます。横書きも同様です。文章の始まりが左上で、終わりが右下となり、目線も同様に左から右へ動くため、読み進めやすさの観点から左綴じを使います。

雑誌など縦書きと横書きが混在する場合は、メインとなる文章が横書きか縦書きかで判断します。 また文字が少ない写真集やフォトブックのように写真中心の本は右綴じと左綴じ両方が使われ、決まった綴じ方向はないです。 これら本の綴じ方向は、画集や洋書のイメージを踏襲し、左綴じが使われる事が多いので参考にする事をおすすめします。

漫画についても国内では右綴じがほとんどですが、使用する言葉によって綴じ方が変わります。日本の漫画はコマを読み進めるときに右から左に流れるのが一般的であることから、右綴じが使われます。一方、アメコミ(アメリカン・コミックス)など海外の漫画の場合は英語表記であり目線の動きが左から右となるため左綴じが採用されています。同人誌などで漫画を自作する際は、使う言語によって綴じ方向を工夫してみてください。

綴じ方向により、原稿のノド部分に必要な15mm~20mmほど余白やノンブル(ページ番号)の配置が変わるので注意が必要です。

右綴じの同人誌を例にすると、本を開いて右側のページが奇数、左側が偶数ページになります。そのため、奇数ページでは原稿の左側、偶数ページでは原稿の右側に余白の設置が必要です。50ページくらいまでは、20mmほど余白があれば十分です。ノド部分の余白は全ページあらかじめ統一した幅で設定しておくと読みやすくなります。
また右綴じの同人誌のノンブルは、本を開いて右側のページが若い番号になります。ノンブルは正しい順番にページが並んでいることがわかるように、断裁の目安となる仕上がり線より5mm以上内側にいれるようにしましょう。

このように本の綴じ方向によって、事前にデータのレイアウト調整が必要なため制作する前に右綴じか左綴じかを決めるとよいでしょう。またデータの調整が難しい場合は、あらかじめ余白などが設定されているテンプレートの活用も検討してみてください。

今回は、右綴じと左綴じの特徴や、本作成時の綴じ方の判断基準について説明しました。自分で本を作成する際にも、より読みやすくするための要素として取り入れてみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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