平綴じとは?綴じ方と特徴を解説
更新:2021年8月23日

平綴じとは、本の背側から5mmくらい内側までを綴じ代とし、2~3ヶ所を表紙から裏表紙にかけてホチキスでとめて、紙を綴じる製本方法です。針金平綴じ、針金綴じとも呼ばれています。平綴じで綴じる用紙は出来上がりサイズそのままか、A3サイズの紙を二つ折りにしA4としたものなどが使われます。
平綴じは家庭用のホチキスを使っても製本することができ、コピー本や会議資料などの作成でよく使われます。また、平綴じで本紙を固定した後、背を糊で固め表紙をつけることで教科書や厚めの雑誌などの製本にも使われています。
簡単に本の形に綴じることができる平綴じですが、ホチキスでとめる製本方法のため、食品業界など針が使用できない業界では使えないことがあります。
平綴じと呼ばれる製本の種類
日本古来の本の綴じ方である「和綴じ」や、ホチキスや糸を使わないで糊で綴じる「無線綴じ」、パンチで穴を開けてファイルにまとめる方法なども、広い意味で平綴じと呼ばれることもあります。しかし、出版業界などで使われる一般的な意味としては、ホチキスで背の近くを、表側から裏側にかけてとめる方法を「平綴じ」と呼びます。
平綴じで綴じることができるページの目安
平綴じは使用する針によって綴じることができるページ数がかわります。家庭用ホチキスに多い10号のホチキス針だと、綴じられるコピー用紙の枚数は最大32枚ほどです。両面に印刷した場合、64ページが10号のホチキス針で作成できる最大ページ数の目安となります。また、業務用のホチキスを使えば平綴じは300ページ前後まで綴じることができます。製本する際は、ホチキスでとめることができるページ数を確認すると良いでしょう。
平綴じと無線綴じ、中綴じの違い
平綴じと無線綴じの違いは製本の際綴じるために使う材料、平綴じと中綴じとの違いはホチキスをとめる位置です。
▼平綴じと無線綴じ、中綴じの特徴
製本方法 | 綴じる材料 | 特徴と用途 |
平綴じ | ホチキス | 表紙から裏表紙をホチキスでとめる 300ページまで製本可能(針により変動) コピー本や会社資料などで使われる |
平綴じ (表紙加工あり) |
ホチキス+接着剤 | 平綴じで本紙を固定した後、背に接着剤をぬり表紙をつけた製本方法 |
中綴じ | ホチキス | 二つ折りした折り目をホチキスでとめる 8~50ページまで製本可能 パンフレットや同人誌などで使われる |
無線綴じ | 接着剤 | 背部分を接着剤でとめて固定する 24~500ページまで製本可能 作品集やカタログなどで使われる |
平綴じではホチキス、無線綴じでは接着剤を使って製本するため、どちらも背表紙や遊び紙、表紙などを工夫できる綴じ方です。
平綴じは無線綴じと比較すると製本作業工程が簡単であることが特徴です。一方、平綴じは無線綴じと比べるとページが開きにくく、綴じることができるページ数が少なくなります。
そのため、平綴じと無線綴じはページ数、仕上がり、製本までの期限の3つを基準に使い分けると良いでしょう。
平綴じで製本する場合には、ページ数はあまり多くできず、ホチキス針が見えてしまうという点で仕上がりも無線綴じに劣りますが、紙とホチキスさえあれば製本できるので短期間で作成することが可能です。
一方無線綴じは、24~500ページの冊子を製本可能で市販の雑誌などと同様に針のない仕上がりになりますが、専用の機材を持っていない限り印刷会社に依頼する必要があるので納品までに期間が必要です。
平綴じ冊子のデータ作成時の注意点
平綴じには「綴じ代」があるため、背から5mmの部分は全く見えなくなり、ページを奥まで開くことはできません。そのため、ノド(綴じ代)にはあらかじめ余白が必要です。
綴じ代は本の厚みにより見える範囲がかわるため、きっちり5mm入れてデザインしても内容が見えなくなることがあります。
そのため平綴じのデータを作る場合は、本の厚みによっても異なりますが、一般的に10~15mmほどの余白をつくるがおすすめです。