表紙にPP加工をするとどんな印象になるの?

更新:2022年10月19日

冊子らくらく見積り

PP加工は、紙の表面にポリプロピレンの透明フィルムを熱で圧着させる表面コーティング加工の一種です。本の印象を変えることができるPP加工ですが、加工を行うと色の濃さなどが変わってしまうため注意が必要です。
そこで、この記事では色の出方にも触れながら、PP加工はどんな本を作りたい場合に使うと良いか解説します。

PP加工は、24μ〜27μ(0.024mm〜0.027mm)ほどの薄いフィルムを熱で用紙に圧着する加工です。PP加工を行うことで光沢やマットな質感を表紙に出すことができます。また、表面がフィルムで保護されるため、傷や色移りなどを減らす効果もあります。

なお、PP加工をするとインクを弾きやすくなるため、水性ボールペンや油性ペンを使った筆記が難しくなります。

PP加工は、連量※が135kg以上ある厚手の光沢紙やマット紙などに使います。薄い紙はカールと呼ばれる紙の反りやシワの原因となるため、加工が難しいです。対応可能な用紙の種類や厚みは加工会社により異なるため、依頼時に確認が必要です。

また、PP加工は熱に弱い用紙には使用できません。たとえば、石油系合成樹脂を主原料とする「ユポ」などの合成紙です。熱に弱い用紙はフィルムを紙に圧着するときの熱処理の影響で、用紙そのものが変形しやすくなるためです。

※連量とは四六判サイズのその紙を1000枚(1連)重ねた時の重量のことです。

PP加工をすると、汚れや湿気、水などから紙表面を保護できます。しかし、PP加工はフィルムを紙の表面に貼り合わせるだけの加工であるため、紙全体の完全な防水にはなりません。

紙全体の保護を優先したい場合は、紙をフィルムで挟み込むラミネート(パウチ)加工の方が適しています。フィルムで紙全体を覆う技術であるため、PP加工よりも外からの衝撃や汚れに強く、防水性にも優れています。

一般的なPP加工は、表面に光沢を与えるグロスPP加工(クリアPP加工)とマットな質感を与えるマットPP加工です。ほかにも、ホログラムPP加工、エンボスPP加工など模様を入れることができる特殊なPP加工もあります。

グロスPP加工(クリアPP加工)は、光沢がありツルツルとした手触りに仕上がるPP加工です。表面に凹凸がない平坦なフィルムを使用することで、光がフィルムに入射する角度と反射する角度を等しくしています。用紙に平坦なフィルムをはることで、光が反射しやすくなり、ツヤツヤとした光沢が出やすくなります。

グロスPP加工では、光が反射しやすいためインク本来の色が現れやすくなります。淡い色が濃く見えるなど、加工前よりも色の濃度や彩度が高く見えやすくなり、全体的に色鮮やかではっきりとした仕上がりになります。

イラストなどの色彩を濃くはっきりと出した方が映える作品に活用すると良いでしょう。同人誌や雑誌、書籍カバー、会社案内、ポスター、名刺などに幅広く使用できます。

なお、PP加工では赤みや青みが強く出る傾向があるため、肌色に赤みが出たり、薄い黄緑が緑に見えたりすることがあるため注意が必要です。黒などの濃い色のインクは、加工前と加工後の色味が大きく変わることがありません。

マットPP加工は、光沢が抑えられた柔らかな質感で、さらさらとした手触りに仕上がるPP加工です。マットPP加工は、表面に凹凸があるザラザラとしたフィルムを使用します。表面の凹凸があると光が乱反射するため、目に入る光も分散されます。これにより、表面のツヤが消えて淡いすりガラスをかぶせたような色味と落ち着いた風合いを出すことができます。見た目が落ち着いた印象となるため、品格を重んじる学校のパンフレットや、高級感を出したい作品集・同人誌、カタログ、雑誌などにおすすめです。

PP加工と同様に、マットPP加工でも加工前と比較すると色の変化が表れることがあります。マットPP加工では、光が分散するため色の濃度が高く、彩度はやや低く見えることがあります。ただし、マットPP加工は光が乱反射してフィルム自体が乳白色に見えやすいため、グロスPP加工よりも色味の変化が目立ちにくい傾向があります。

本の表紙に好みの柄を追加したい場合に、特殊加工が役に立ちます。例えば、キラキラした虹色に光る模様を入れたい場合はホログラムPP加工、レザー調の凹凸がでるエンボスPP加工などが使えます。特徴的な印象の表紙になるため、デザインにこだわりたい人向きのPP加工になります。

ホログラムPP加工はキラキラと光る加工であるため、イベント会場で配布する同人誌やトレーディングカード、バーなどの店舗やスタッフ用の名刺などに活用できます。

エンボスPP加工は、PP加工に使うフィルムを貼り、表面にレザー調の凹凸を施す特殊加工です。見た目の変化のほか、手触りを楽しむこともできます。エンボスPP加工は、ノートなどのノベルティグッズや、パッケージ、書籍、社史、自分史といった特別感を演出したいグッズに活用できます。

※冊子製本キングではホログラムPP加工、エンボスPP加工はお取り扱いしておりません。

PP加工を行うと色が未加工のものと比較して濃くなる場合があるため注意が必要です。たとえば、グロスPP加工では赤色が強く出やすくなり、マットPP加工では白っぽい跡がつくことがあります。これは樹脂で本の表紙を加工することで反射する光の量が変化したり、加工時の熱でインクや紙、接着剤が変色したりすることで起こります。

細部まで色にこだわりたい場合は、PP加工を行う前に色味の変化も踏まえて表紙の色の調整が必要です。加工見本品で色の出方を比較したり、業者へ相談したりすると良いでしょう。

ホログラムPP加工をする場合は、デザインの色彩や図柄の配置調整などが必要となる場合があります。ホログラムが光に反射して色が変化するため、コントラストの弱い図柄などのデザインは見え辛くなることもあります。

ホログラムPP加工をする前に業者へ相談のうえ、細かいデザインを決定しましょう。