文庫本の製本作成 用紙やページ数の目安を紹介

更新:2023年8月31日

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この記事では、文庫本の製本に使える原稿のフォーマットや、一般的な文庫本の製本仕様、自分のイメージに近い文庫本を自作するコツなどをお伝えします。

一般的な文庫本の製本仕様

文庫本を作る場合、参考として一般的な仕様を抑えておくとよいでしょう。ここでは、サイズやページ数、フォントのサイズから行間や書体まで、市販品の文庫本を参考によく選ばれている仕様をご紹介します。

文庫本のサイズ

文庫本の一般的なサイズはA6判(148✕105mm)です。厳密には縦幅は出版社ごとに多少異なります。

例として、講談社の文庫は148mmで、幻冬舎文庫は少し短く、新潮文庫、文春文庫、集英社文庫は少し長いです。縦幅の長さの差は数ミリで、各社の文庫本が混じって並んでいても注意して見なければ気付きにくい程度です。

文庫本のフォントサイズと行間

文庫本に使われるフォントサイズ(文字サイズ)はさまざまです。市販の文庫本の本文に多く見られるフォントサイズは9pt(ポイント)程度です。

行間はフォントサイズや本の内容によって調整します。たとえば小説などある程度の長文の場合は文字の1.5倍程度の行間が目安です。本文の文字が9ptだと行間は13.5ptが目安になります。詩などで余韻を持たせたい場合は文字の2倍程度の行間をとることもあります。

文庫本のフォント

文庫本で使われるフォントは主にゴシック体と明朝体で、小説や詩など縦書きの文庫本の本文には、線が細くて可読性に優れた明朝体が使われることが多いです。

またフォントには有料のものと無料のものがあります。この本と同じフォントにしたい方は有料フォントも検討してみるといいでしょう。有料フォントは、買い切りで1万円前後です。

有料フォント例

フォント 用途
リュウミン 文庫本でよく見かけるバランスよい明朝体。ハリーポッターなどにも使われる。
イワタ明朝体オールド ハヤカワ文庫で多用されているレトロ感のある明朝体。

なお、商用でフォントを利用するときには、利用規約にて商用利用しても問題ないかを必ず確認しましょう。

文庫本に使われる本文用紙

市販されている文庫本には、60kg※1から90kgのクリーム色の用紙が使われます。文庫本用紙は出版社が自社の文庫本用に製紙会社と共同開発しているもので市販はされていません。自分で文庫本を製本する時には、ラフクリームや淡クリームキンマリなど、薄手でクリーム色の用紙を使うと市販の文庫本と近いイメージになります。

※1:連量と呼ばれる印刷業界で使われる紙の厚みをあらわす単位。紙の厚みが厚くなるほど連量の数字は大きくなります。

文庫本のページ数

文庫本のページ数は多様です。使用する本文用紙によりますが、200ページから300ページの本が一般的です。500ページだと通常より厚い印象の本になるため、2冊に分けるなどしてもよいでしょう。

文庫本の作成で付けられるオプション加工

文庫本の製本ではブックカバー、PP加工遊び紙、スピン(しおり)のようなオプションを付けられます。

オプション 主な用途
ブックカバー・帯 文庫本を保護するオプションで、イベントや書店で展開する場合に利用いただけます。
PP加工 文庫本の表紙や別刷りのブックカバーを透明フィルムでコーティングして光沢を出す加工です。
遊び紙 文庫本の内容や雰囲気を伝えられる、巻末や巻頭に挟む紙のことです。
スピン 文庫本の上部についているしおり紐のことです。

文庫本の印刷・製本にかかる料金目安

文庫本を印刷・製本するときにかかる費用は、制作する部数・納期・ページ数・用紙・オプション加工・依頼する印刷会社などで変わります。

例えば、1部だけで下記の条件で文庫本を製作する場合を見ていきましょう。

<条件>
1部・通常納期
A6無線綴じ、200ページ
表紙モノクロ印刷、表紙用紙は上質紙最厚手(135kg)
本文モノクロ印刷、本文用紙は書籍用紙(70kg)

この場合、1部あたりの価格は印刷会社によって2,000円から10,000円と幅があります。印刷会社ごとに価格が大きく異なるのは、使用する機器や稼働する人員などが異なるためです。最小部数も印刷会社によって幅があり、1部から製作できるところもあれば、30部以上からの製作になるところなどさまざまです。基本的には部数は多いほど単価は安くなり、納期は長いほど安くなります。製本を依頼する前には、必要に応じて見積もりを取りましょう。

見積もり・発注・入稿の流れ

見積もりの取り方、発注の仕方、入稿の流れも印刷会社ごとに異なります。一般的には、印刷データを作成頂いた後に見積もり・発注し、データ入稿をしていただき、商品の印刷・製本をする流れです。

詳しくは「冊子印刷ご注文からお届けまでの流れ」をご覧ください。

文庫本の製本・印刷する原稿作成の注意点

最後に、文庫本を製本する上で注意しておきたいポイントについてまとめておきます。いざ制作するとなった際に、仕上がりに影響する部分でもあるので、よく確認しておきましょう。

データ形式に気をつける

文庫本は文字ベースの原稿を印刷することが多く、Wordなどで作成したデータをPDFに変換・保存して、入稿データとして印刷会社に送ることが一般的です。

印刷データ作成用にテンプレートを準備している製本会社もあります。テンプレートには切れてはいけない文字などの要素を入れる範囲、仕上がり線(用紙の断裁線)などのガイドラインが設定されています。

テンプレートは「冊子製本キングの入稿テンプレート一覧ページ」からもダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

余白の設定をする

文庫本の原稿作成時は、用紙の端から本文までの小口部分の余白を10mm以上、本を綴じた際の中央部分であるノドの余白を20mmほど設定する必要があります。余白がないと用紙の断裁時に本文が断ち切れたり、ページを開いてもノド付近の文字が見えなくなったりするためです。

ノンブルの位置に注意する

文庫本のノンブル(ページ番号)は仕上がり線の端から4mmは離して配置しましょう。4mmよりも端に近く配置すると製本時に断裁されることがあります。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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