製本とは?製本の種類や綴じ方について徹底解説

更新:2023年10月13日

製本とは?製本の種類や綴じ方について徹底解説

製本とは複数の印刷物や原稿を一つに綴じて、本や冊子にすることです。製本方法には「上製本(本製本)」や「並製本」などいくつかの種類があります。製本によって製造工程や仕上がり、コストが変わります。

上製本(本製本)とは、いわゆるハードカバー書籍のことです。本文用紙を糊と糸を使った糸綴じで仕上げた後、本文用紙より一回り大きい板紙(厚手のボール紙や布)の表紙でくるむ製本方法です。

表紙は硬い芯紙の上から表紙用紙(紙や布、ビニールなど)を巻く二重構造で、頑丈で高級感がある仕上がりになります。
また上製本(本製本)は、背の形状が2つあり、背が丸く綴じられている「丸背製本」と四角く綴じられている「角背製本」から選べます。

記念誌、卒業アルバム、辞書、写真集、絵本、小説、など、長期保存が想定される冊子や使用頻度が高く耐久性が求められる冊子に向いています。1部のみ自作する場合、5,000円前後で作成可能です。

上製本の各パーツの名称については、「上製本とは?並製本との違いもあわせて解説」をご覧ください。

並製本とは、いわゆるソフトカバー書籍の製本方法のことです。表紙に柔軟性のある用紙を使い、接着剤などで本文用紙を一緒に綴じます。並製本の背の綴じ方は冊子の種類やページ数によっていくつか種類があります。

並製本は、本文と表紙の紙の厚みが大きく変わらず、軽くて持ち運びしやすいことが特徴です。また、上製本(本製本)と比べて製本工程が少ないため、低コストで作成できて納期が短いです。しかし、簡易的な構造なため長期保存のしやすさや耐久性は上製本(本製本)より劣っています。

カタログ、パンフレット、単行本、雑誌、文庫本、テキスト(教科書)、ノート、手帳など、使用頻度が高かったり大量生産したりする冊子向きです。1部のみ自作する場合、1,000円前後で作成できます。

・リング製本

紙に穴を開けてワイヤーやプラスチック製のリングで綴じる製本方法です。ページを360度動かせます。コンパクトなことから、カレンダーやメモ帳によく使われています。

・テープ製本

背をテープで綴じた製本方法です。ビジネスシーンにおける契約書、テキスト(教科書)、ノートによく使われています。製本テープを使えば即席で冊子を作成できるのが特徴です。

一般的に冊子の製本には、針金(ホチキス)や接着剤が使われます。
針金を使った綴じ方(中綴じ等)はページ数が少なく、安価に作りたい場合に使います。また、見開きページを見せたい冊子向きの綴じ方です。接着剤を使った綴じ方(無線綴じ等)は、52ページ以上のページ数が多いカタログ・文庫本などを綴じる際に使用されることが多いです。また、糸を使った綴じ方(中ミシン綴じ等)は、絵本や辞書など子どもの怪我への配慮や本の強度が求められる冊子を綴じるときに選ばれます。
しかし、糸を使った綴じ方は特殊で、印刷所によっては利用できないことや他の製本方法と比較し費用が高くなることがあるので注意が必要です。

綴じ方 綴じるもの よく使われる冊子 綴じ方が選ばれる理由
中綴じ 針金 同人誌、パンフレット 見開き1ページが見やすい。
平綴じより針金で周りの本を傷つけにくい。
平綴じ 針金 同人誌、企画書 部分印刷が可能で、自作しやすい。
中綴じより開きにくいが、小口*1のズレが少ない。
無線綴じ 接着剤 カタログ、文庫本 ページ数が多い冊子でもきれいに製本できる。
あじろ綴じ 接着剤 カタログ、月刊誌 無線綴じよりも強度が高い。
PUR綴じ 接着剤 写真集、図版 無線綴じよりも見開き1ページが見やすい。
糸綴じ 接着剤+糸 辞書、百科事典 無線綴じよりも強度が高い。
見開き1ページが見やすい。
中ミシン綴じ 絵本、学習本 子どもが使うものなど強度が必要な際に選ばれる。
和綴じ 俳句集、御朱印帳 日本風の冊子がデザインしやすい。

※1小口:本をひらいたときの外側の部分のこと。中綴じではページ数が増えるほど小口のズレが大きくなるため、小口を揃える断裁が必要になります。

中綴じは、印刷した用紙を重ねて中央から二つ折りにし、折り目部分に針金や糸を通して固定する製本方法です。背綴じともよばれます。
中綴じは見開きページを180度開くことができます。写真やイラストなど、ページを開いた紙面いっぱいの見開きレイアウトが可能です。

表紙と本文
表紙と本文

中綴じで印刷できるページ数は印刷所によって変わります。
針金で留めているためページ数が多くなると綴じることができません。冊子製本キングでは表紙を含めて8ページから52ページまでであれば製本することができます。

中綴じは用紙をホッチキスで留めるだけの仕様であり作業工程が少ないため、安価に作成可能です。 ただし、糊や糸を使った綴じ方よりも強度は落ちるため注意が必要です。

レイアウトを作成する際はページ数と小口部分の余白に注意が必要です。中綴じは用紙1枚に表面の左右2ページ+裏面の左右2ページずつ印刷します。ページ数は必ず4の倍数にする必要があります。ページ数が増えるとその分外側のページと内側のページ幅に差が出てしまい、裁断される部分が発生するため、小口に5ミリほどの余白が必要です。(右図参照)

表紙と本文
使用例 : 週刊誌 / パンフレット /同人誌 / 楽譜 / 会社案内 / 説明書 など
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平綴じは、表紙と本文すべてのページを開いた状態で重ねて折るか、2つ折りにした紙を重ねて、背から5ミリ程度の所を、針金(ホチキス)や糸で綴じる方法です。ページ数が増えると針金(ホチキス)で留められなくなり強度も落ちてしまうため、8~52ページ程度のページ数が少ない冊子に向いています。

印刷するページの順番も間違いにくく、簡単に作成することができるため、オフィスや学校の資料作りによく用いられます。背の部分が針金(ホチキス)で留められ本を完全に開くことができないため、見開きの写真などを見せたい本を作る場合には不向きです。平綴じの詳細はこちら

使用例 : 企画書 / 配布資料 など

本文の背を接着剤で固めて、表紙用紙でくるむ綴じ方です。

表紙と本文
表紙と本文

冊子製本キングでは表紙を含めて、24ページから500ページまで印刷が可能です。文庫本やカタログなど、ページ数が多い書籍にも対応しています。本文の総ページ数は2ページ単位で調整できます。

無線綴じは、ページ数が24ページ以下になると背表紙が作れず固定できないため注意が必要です。さらに、加工の特性上無線綴じは、ノド※2部分を根本まで開くことができないため、見開きを使ったデザインには不向きです。
※2 ノド:本を見開きにした時の綴じ部分のこと

ノド部分に文字や図を配置すると、見えにくくなる可能性もあるため、レイアウトを作成する際はノド部分に15ミリ以上余白を取ることが必要になります。

使用例 : 長期的な保管を目的とした本… 文庫本 / 辞書 / カタログ など
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あじろ綴じは、本の背の部分に切り込みを入れ、接着剤の浸透量が無線綴じより多くなるようにすることで強度を上げた綴じ方です。
※冊子製本キングでは取り扱いのない綴じ方です。

使用例 : 月刊誌 / 辞典 / カタログ など

PUR綴じは、無線綴じの接着材にPUR系ホットメルト接着剤を用いた綴じ方です。PUR系ホットメルト接着剤は、通常の無線綴じで使われるEVA系接着剤よりも接着性が強く、固まった後の柔軟性が高いため、通常の無線綴じよりも開きやすくなっています。そのため、見開きでのデザインがしやすくなるといったメリットがあります。また、耐久性、耐熱性に優れており、屋外での使用にもおすすめの綴じ方です。

しかし、通常の無線綴じに比べるとややコストが上がることと、接着に時間がかかるため印刷日数が延びるというデメリットがあります。
※冊子製本キングでは取り扱いのない綴じ方です。

使用例 : 写真集 / パンフレット / 地図 / レシピ本 など

糸綴じは折り込んだ用紙を重ね、糸と接着剤で綴じる方法です。300~1,500ページ前後まで綴じられるため、辞書など分厚い書籍の製本に使います。

接着剤で背がすべて固定されているわけではないため、ページ数が多くても開きが良い冊子になります。また、糸と接着剤の2つで固定するため、耐久性に優れており長持ちします。
耐久性があり開きやすい綴じ方ですが、手間とコストがかかるというデメリットもある綴じ方です。
※冊子製本キングでは取り扱いのない綴じ方です。

使用例 : 長期間使われる本… 辞書 / 百科事典 / 写真集 など

中ミシン綴じは、表紙と本文すべてのページを開いて中心を糸で綴じる方法です。子供が使うものや衛生面などが意識される場所で使う冊子を綴じる際に主に使われます。
中ミシン綴じはページを180度開くことが出来るため、見開きを用いたレイアウトにも向いています。また、ページ数が増えると耐久性が落ちてしまうため、一般的に綴じることができるは40ページ以下とされています。
※冊子製本キングでは取り扱いのない綴じ方です。

使用例 : アルバム / 写真集 / 作品集 / 絵本 / 手帳 など

和綴じは2つ折りにした和紙に表紙をつけて、右側を丈夫な糸で綴じる方法です。8~36ページを綴じることが多いです。針金や接着剤を使用しないため経年劣化しにくく、耐久性に優れています。

ノド側に穴を開けて糸を通すため、通常の無線綴じよりもやや開きにくくなります。穴あけ間隔は紙の端から1.5cmほど内側に入ったところに1つ、反対側の端からも同じように1.5cm入ったところに1つ、その間を3等分に分けたところに2つの計4カ所です。冊子を綴じる際は、四つ目綴じ、亀甲綴じ、麻の葉綴じ、康煕(こうき)綴じとよばれる糸の結び方を活用します。

レイアウトを作る際は穴をあける幅を確保するため、文字やイラストは、綴じ側から30ミリ程度離して配置するときれいに仕上がります。
※冊子製本キングでは取り扱いのない綴じ方です。

使用例 : 俳句集 / 御朱印帳 / 経本 など

・コート紙

用紙の表面にコーティング加工が施されており、カラー印刷を鮮やかに印刷できます。写真やイラストがメインとなる写真集やアルバムでよく使われる用紙です。つるつるとした手触りの紙質なので筆記性は劣ります。

・マット紙

コート紙と比べると光沢が抑えられており、ページ表面の反射が少なく、文字が読みやすいです。写真と文字をどちらもきれいに見せたいカタログやパンフレットでよく使われている用紙です。

・上質紙

コピー用紙やノートに使用されている用紙です。サラサラとした表面でページをめくりやすいです。表面にコーティングが施されていないので、筆記性に優れています。インクを吸収しやすいため、にじみやすく写真が多い冊子には向いていません。

・ラフクリーム

薄いクリーム色がかかった紙で、長時間文字を読み続けても目が疲れにくいです。ややざらついた手触りでページをめくりやすいため、同人誌や文集などの書籍でよく使われています。

表紙に使う用紙や素材は、ソフトカバーとハードカバーで違います。

ハードカバーとソフトカバーの違い

ソフトカバー ハードカバー
表紙の材料 表紙用の印刷紙(上質紙、コート紙、マット紙、アイベスト) 板紙(ボール芯)、表紙素材(印刷用紙、布クロス、レザークロス)

ソフトカバーの表紙には、本文用紙よりも厚みがある用紙を使います。本文用紙は90kg前後が多いため、表紙の厚みは連量※2でおよそ135kgが目安です。

ハードカバーの表紙には印刷用紙のほかに布クロスやレザークロスなどを、板紙にはりつけ高級感を出します。

※2 連量とは、紙の厚みをあらわす単位のこと。一定の寸法の紙を1,000枚重ね合わせた時の重さで厚みを表現しています。紙の厚みが厚くなるほど連量は重くなります。

業者によっては、数百円程度のオプションで表紙の加工を受け付けています。表紙に加工を施すことで耐久性が上がって傷を防げたり、見栄えが良くなったりします。

・グロスPP加工

光沢が強くなり、写真の発色が明るくなる加工です。色鮮やかになることから雑誌や写真集の表紙で使用されます。また、紙の強度が上がり、傷が付きにくくなります。

・マットPP加工

マットPP加工は光沢がおさえられたPP加工です。印刷された文字が見やすいため、学校や会社案内、作品集などの表紙に使用されています。

上製本と並製本は表紙にどんな種類の紙を使っているかで本を分類した呼び方です。上製本は別名ハードカバーと呼ばれ、厚み1ミリ以上の厚紙を芯に使った表紙が使われている本です。並製本は別名ソフトカバーと呼ばれ、本文用紙と厚みがあまり変わらない紙で表紙が作られている本のことをいいます。

■ 上製本と並製本の違い

上製本 並製本
特徴 丈夫で高級感を出せる 上製本より、納期が短くコストが低い
使用例 小説、絵本、記念誌、写真集 パンフレット、カタログ、同人誌
製本できない綴じ方 中綴じ なし

表紙と本文の厚みの差は、出版・印刷業界ではチリと呼ばれます。本を長持ちさせたい際や高級感を出したい場合、チリを厚くすることが多いです。

中綴じと無線綴じは作成する冊子のページ数によって決めるのがおすすめです。
その他、冊子にこだわりたいことがある場合は、適した綴じ方を選ぶ必要があります。
たとえば、上製本の表紙をつけたい場合はページ数が少なくても無線綴じでの製本が必要です。他にも、中綴じは見開きページを180度開くことができます。見開き1ページにまたがるようなイラストや写真を入れたい場合に選ぶといいでしょう。

中綴じ 無線綴じ
イメージ画像 中綴じ冊子製本をご希望の方はこちらをクリック 無線綴じ冊子製本をご希望の方はこちらをクリック
綴じ方 針金 糊(接着剤)
印刷可能な
ページ数
8ページ~52ページ
※表紙を含める
24ページ~500ページ
※表紙を含める
ページ数 4の倍数 2の倍数
メリット
  • 根元まで開くことができる
  • 写真やイラストを見開きでレイアウトしても見やすい
  • 無線綴じに比べて安価で仕上がる
  • ページ数が多くても見栄えよく印刷することができる
  • 丈夫、高級感がある
  • 背表紙をつけることができる
デメリット
  • 針金で留めているため、ページ数が増えるほど強度が落ちる
  • ページ数が増えると外側と内側のページ幅に差が出る
  • 背表紙がつけられない
  • ページ数が少なすぎると背表紙ができない
  • 根元まで開くことができない
  • 見開きを活かしたレイアウトには向かない
  • 綴じ代付近の文字や図は見えにくくなる可能性がある
  • 中綴じに比べて価格が高い
使用例
  • 週刊誌
  • パンフレット
  • 楽譜
  • 会社案内
  • 楽譜
  • 長期的な保管を目的とした本
  • 文庫本
  • 辞書
  • カタログ
  • 写真集

右綴じと左綴じは、基本的に文章の方向で使い分けます。小説や教科書、写真集、雑誌など文章が縦書きのものは右綴じ、パンフレットやデザインブックなど説明が横書きのものは左綴じにするのが一般的です。

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一口に製本方法といっても、作成する冊子によって適した綴じ方は異なります。
冊子の用途に適した製本方法を選んでいきましょう。